Optics for Thermal Imaging::赤外線カメラレンズとは


  • サーモグラフィでは通常の石英硝子レンズは使用できません。

 赤外線カメラレンズでは、近赤外、中赤外、遠赤外域のどこを選ぶのか、あるいは複数選ぶのかで選択素材が変わります。
レンズは赤外域を透過する材料を使用し、Ge、Si、ZnS、ZnSe、カルコゲナイドガラスなどが使われます。最も多く使われるのはGe(ゲルマニウム)です。 ゲルマニウムは14μm程度まで透過特性があり、遠赤外域ではほぼこの素材が選択されます。シリコンやZeS、ZeSeなどは波長帯によって使い分けます。
近赤外域を上限とした場合であればガラス(SiO2)レンズがよい選択肢となります。しかし3um程で透過率が落ちていくのでサーモグラフィで通常使用する波長域では使用できません。


  • 迷光

 赤外線カメラレンズが通常のレンズと違うところはその透過波長以外に迷光の影響の大きさがあります。
赤外線カメラレンズにおいて迷光とは光の要素と熱の要素があります。 光としての要素は可視光レンズと同じで、結像点以外からの入射が測定に影響することです。 可視光レンズでは余計な光の入射を防げば良いのですが、サーモグラフィの場合、レンズ筐体自体の熱放射もあります。
寸法・重量、コストの勘案とF/#の選択で最適な設計を選ぶ必要があります。



  • その他の要素

 その他の要素として

・焦点距離とセンサから視野角の決定、
・MTFと歪み、
・環境温度の影響による焦点ずれ、
・用途に応じた振動・衝撃

など考慮する項目は多岐にわたるため、やや複雑に感じるかもしれません。
用途と必要な性能・仕様に応じて選択、決定していくことになります。