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コンセプト|先端半導体製造における「熱」の課題とサーモグラフィ計測

 最新の半導体はさらなる高集積化にむけて微細化と立体構造化が進んでおり、現在2nmプロセス技術の開発競争が激しくなっています。AIなどの大量かつ高速な計算ニーズ、超小型デバイスによる高性能化と低消費電力ニーズが、微細化・超小型化の技術開発を促進しています。膨大な量の高次元計算を並列処理するためには、回路の短縮を必要とし、膨大な量のチップ使用のために低消費電力と一枚当たりコスト提言が重要になっています。
 先端半導体では極小の回路製造技術とGAAと呼ばれる新しい立体構造を採用することにより高性能化、低消費電力化の実現しとリーク電流の問題を抑え込みます。一方で物理的な限界がなくなるわけではなく、原子数個レベルの障壁ではリークが生じる可能性は残ります。回路が微細になるほど、構造的な弱さ・熱応力が影響します。わずかなリークであっても微細化が進んだチップでは数100~1000℃以上に達することがあります。また極小ゆえに、熱容量・放熱性の問題が生じる可能性があります。


後工程・製造・実装

 後工程における開発では微細化のための先端パッケージング、CPOのような光学系とのパッケージング、リークや熱等の問題に対応するための新素材開発、配線のさらなる微細化、自動試験装置の技術進歩が進んでいます。
 製造では後工程には主にキュアリング(硬化)とリフロー(はんだ付け)の加熱プロセスがあります。切り出されたチップと基板に固定している接着剤をオーブンで加熱して熱硬化させます。UV照射による硬化においても発熱が生じます。樹脂を注入するモールドやウエハレベルパッケージングでも行われます。リフローではチップに形成されたはんだを基板と接触させ、加熱炉ではんだを溶融させて一括接合します。周囲への熱影響を防ぐためにレーザーで局所加熱する場合もあります。また試験工程で高温負荷試験(バーンインテスト)があります。



温度計測と評価、従来手法

従来手法には以下のようなものがあります。 • 熱電対・サーミスタ等(接触式): 物理的なサイズ限界があり、ミクロンレベルのピンポイント測定は不可能。 •赤外線放射温度計 非接触、非破壊にスポットで温度計測ができる。低コストで距離の自由度も高い。赤外線を透過する光学系がひ必要であり、微細なスポットを狙うには難しく、スポットの平均値の計測となる。また分布が取れないため異常個所の検出はできない。 • 一般的なサーモグラフィ: 安価で全体の温度分布を簡単に確認できる。空間分解能が不足し、極小エリアの異常発熱(ホットスポット)の検出には不向き。リークなど局所の不良を検出することはできない。 • 従来のハイエンド検査装置: ロックイン熱解析などシステムは検出力は同期検出と冷却型センサを用いるため高いが、導入コストが数千万円~1億円超規模であり、巨大なテスト装置であることが導入障壁となっている。積算を繰り返して検出するため動作観察ではなく異常個所の抽出に用いられる。
これまで、こうした微小な熱は熱電対などの接触式では測れず、一般的なサーモグラフィでも解像度不足や熱ノイズによって見落とされてきました。かといって、数千万円もする超高額な大がかりな解析装置を何台も導入するのは現実的ではありません。ここに大きな技術的ギャップが存在していました。



高解像度なサーモグラフィ計測で何がわかるか

 高解像度サーモグラフィを用いるメリットにはアルゴリズムと組み合わせるとリークやショートが発生することによる異質な温度分布や異常発熱を可視化することができる点です。テスター等電気的テストでは動作の試験はできるものの異常個所の特定が困難な場合がありますが、サーモグラフィでは動作状態をそのまま観察するため該当箇所の特定も可能です。第二に微小領域の温度計測を専用キャリブレーションと組み合わせれば、熱電対では計測できない温度計測を精度よく非接触に行うことができます。第三に微小なパターンや構造、機能が集積した微小な領域の熱分布の変化を可視化することができます。こうした特性を生かして熱伝導性などの評価を行うことが可能です。第四に時系列の計測が可能であるため、部位ごとの温度上昇率や飽和点の可視化が可能になります。
 これらの特性を用いるためには回折限界並みの高解像度、微小領域特有の精度低下を改善するキャリブレーション、わずかな信号変化をとらえる高い温度分解能、変化を可視化するためのリアルタイム処理、可視化アルゴリズム、必要に応じて特徴量抽出等の二次処理が必要です。



設計・試作評価

 先端半導体や新規材料、新開発の部品を用いたデバイス開発においてはその回路・パターンの発熱分布、駆動時性能の温度評価が必要です。線幅が狭くなり、実装部品が小さくなる中、局所的な発熱はますます予測困難なものとなっており、実際に計測する重要性が高まっています。 特に局所的な発熱はシミュレーションで捉えることは難しく、実際に計測する必要があります。一方で対象が小さすぎて熱電対などの接触式温度計では(温度計の熱影響が大きいため)計測できず、非接触で計測する必要がある一方、微小なサイズを捉える画像計測が必要になります。
 IC、抵抗、RF部品等の小型化・高性能化する度に熱的な課題が変わります。そのため半導体デバイスは実装品ごとに異なる表象を評価していきます。 半導体デバイス熱評価装置は顕微鏡サーモグラフィ「サーマルヴューX MCR」を用いて極小エリアの温度計測・温度パターンを測定し、局所の温度を捉え、全体的な温度評価を行います。また「サーマルヴューX DTR」を用いて差分計測や統計手法を用いた評価を行うことも可能です。



材料熱特性評価

 新規材料を用いるとその半導体、デバイスは熱的な特性が変わります。
 熱伝導性、方向性、熱容量、電気抵抗によるジュール熱、耐圧・引張試験等様々な熱評価を行います。



微小領域加熱器(ヒーター・レーザー)評価

 効率的な製造、最適なエネルギー効率、少量多品種に応えるための技術開発が進んでいます。そのために局所領域を効率的かつ設計通りの加熱をする技術開発が進んでいます。
 微小領域の加熱を直接評する方法は顕微鏡サーモグラフィが唯一の手段です。伝統的な(セラミック)ヒータータイプや小型ハロゲンタイプからレーザー加熱まで「サーマルヴューX MCR」を用いた微小領域加熱器評価装置で評価します。



加熱接着・光硬化型接着の温度計測

 接着の正確さは常に歩留まり向上のカギですが、接着加熱温度、圧力、位置の制御が重要です。ますます接着面が小さくなるデバイスにおいて温度計測は困難を極めます。
 「サーマルヴューX MCR」は小さな接着面や光硬化型接着剤等、極小エリアゆえに通常のキャリブレーションでは計測できない接着時の温度を計測できます。



顕微鏡サーモグラフィ「サーマルヴューX MCRシリーズ」

 サーマルヴューX MCRシリーズは冷却型で3μm、非冷却型で7μmを切る高い解像度を実現した高解像度サーモグラフィです。微小部品・微細配線周辺の局所発熱を検出します。高分解能技術で実質温度差0.1℃以下を分解し、検査値では0.02℃以下のモデルもあります。高精度技術により微小領域特有の温度精度低下を改善した専用キャリブレーションを行い、専用のアルゴリズムを用います。
 ヴューXAppに搭載された多彩な機能を用いて、わずかな変化を可視化し、異常の見落としを低減します。国内外の研究機関で様々な用途に用いられています。小型コンパクトで高いコストパフォーマンスを実現します。 -> サーマルヴューX MCRシリーズ